DIGS-1088
¥4,180
(本体¥3,800)
地図のない町
中平康監督自ら企画し、巨匠橋本忍が脚本を書いた社会派サスペンスの傑作
ヌーヴェル・ヴァーグの作家たちにも強い影響を与え、再評価が高まる一方の天才監督復刻シリーズ「リスペクト中平康!」第5弾は中平康自らが企画し、巨匠橋本忍が脚本を書いた社会派ドラマの傑作『地図のない町』。
●“悪事を罰する法律はあっても、正直な善人を守る法律はない”─これは法の裏をかく強大な暴力行為とその組織に対し、人道と社会正義のために敢然と戦う市民たちの物語をリアルでダイナミックなタッチで描いた一代社会ドラマ。社会派の一面を持つ中平康が暴力団が幅を利かせていた当時の社会へ警鐘を鳴らす。
●もともとは石原裕次郎のための企画だったが、紆余曲折を経て中平康作品に何度も出演経験がある日活第2期ニューフェースの葉山良二の主演作品として製作された。街を牛耳ろうとする巨悪(滝沢修)、主人公慎介の恋人(南田洋子)、チンピラに凌辱された経験を持つ慎介の妹(吉行和子)、住民の心の支えでもある良心的な医者(宇野重吉)、豪華キャストによる重厚な名演は必見。
●船山馨の原作を脚色したのは映画史に残る数多くの名作(『羅生門』『七人の侍』『生きる』『砂の器』『八甲田山』)を手がけた巨匠橋本忍。
※佐藤利明氏(娯楽映画研究家)による解説はこちら
■DVD版の予告編は こちら
DVD特典
映像特典:劇場用予告編+オリジナルポスター画像
封入特典:プレスシート縮尺再編集版
【スタッフ】
監督:中平康/脚本:橋本忍、中平康
原作:船山馨/撮影:山崎善弘
音楽:黛敏郎/助監督:西村昭五郎
【キャスト】
出演:葉山良二、吉行和子、南田洋子、小沢昭一、山内明、宇野重吉、滝沢修
芦田伸介、浜村純、三崎千恵子、佐野浅夫
公開年度:1960年/本編96分
©日活株式会社
推薦コメント〉
あの男は満員の痴漢電車の乗客だった。車内エキストラのくせに「この後、撮影をを見学してもいいですか?」と終日撮影にまとわりつき、いつの間にか獅子プロにもぐり込んでいた。普段はマジメで寡黙・が・酒が入ると訳のわからぬ大法螺吹きに大変身、失敗多数。つくづくアウトプット下手なれど、思いを打ちまけたデビュー作で見事に意気衝天!
観る側にもエネルギーを求める佐藤寿保映画の初号試写で感心したことを思い出した。
滝田洋二郎(映画監督)
20才代の頃、佐藤寿保さんの映画の助監督をつとめた。ツラかったが、なぜか嫌な思い出じゃない。どちらかというと自慢したい。佐藤寿保さんは変わらない。「止まっているってことと、変わらないってことは違うんだ」寿保さんのことを考えるといつも故PANTAさんの言葉を思い出す。羨ましいと思う。その原点である映画が新たに陽の目を見る。祝福です!
瀬々敬久(映画監督)
ピンク映画はセックスではなく不能と鬱屈を描くものであり、鬱屈と暴力は若者の特権だ。『激愛!ロリータ密猟』の誰よりも深い絶望は、いまなお我らの胸をかきむしる。
柳下毅一郎(映画評論家/翻訳家)
嫌な気持ちにさせてくれるディテール。しかし気づくとスッキリさせてくれる。ざっくりと言えば「ヒドイ」映画なのだが、この『激愛!ロリー密猟』の場合それが最上級の褒め言葉にいつしか化けてしまう、とにかくヒドイ映画。必見!
根本敬(特殊漫画家)
この映画を観て映画制作を志したと云っても過言ではない名作中の名作。
小林良二(映画プロデューサー)
コンプラ遵守、ジェンダー平等、ハードコア・ポリコレな21世紀の現代に、時空の裂け目が生じ、20世紀の闇から堕ちてきたピンク色の歪な残像!!!!! こんな奇想の封印を解くなんて、不適切にもほどがある!!!!!!!
宇川直宏(“現在”美術家/DOMMUNE主宰)
陰鬱とした狂気が棲む地下の部屋。新宿の強烈な眩しさ。赤いハイヒールに流れる血。シャッターを切り自ら脱ぐ伊藤清美さんに全身をぶち抜かれた。この作品を見たばっかりに、佐藤寿保作品を求めいまだ亡霊のように彷徨い続けている。
遠藤倫子 (映画zine ORGARM発行人)
私には「死んだら棺桶に入れるものリスト」がある。
そこにこの映画のタイトルを記す夢が叶った。
だからもう、いつ死んでもいい。
シブヤメグミ (バー浮かぶ・二代目店主)
淫乱と暴力と初期衝動!
ノイズやパンク、ロックに造詣が深いところにも衝撃を受けました。
そんな寿保監督のデビュー作が家で観られるなんて!
中原昌也(ミュージシャン/文筆家/映画評論家)
孤独で混乱した精神の前に、無邪気な人々が行き交う雑踏のどれほど残酷なことか。1985年、バブル直前の新宿に、決して救われ得ない2つの魂が交錯するとき、血と淫欲が〈イノセンス〉を塗り潰す! 身を立て! 名をあげ! やよ励めよ! 真の解放はいつも、血まみれのイニシエーションの先にしか残されていないのだから。
髙橋ヨシキ(アートディレクター/映画評論家/サタニスト)
私が20歳だった頃の新宿が舞台。毎日のように新宿にいた頃。観ているうちに当時の頭の中をのぞいているような気分になった。不安と根拠のない自信のカオス。ラスト近くのヒロインが不思議な美しさだった。
古市コータロー(ミュージシャン)
かつてピンク映画館なるものが街中にあった頃、青少年たちは自分の内に秘めた性衝動を、暴力を、妄想を、青暗いスクリーンの中に投影させていた。
じっとり湿ったシートを、男女のまぐわいを照らし出すぼんやりとした映写機の明かりを、そのやりきれなさを。
すべて爆発させるために、パンクするしかなかった。
映画館を、新宿を、狂った触覚がパンクする。
松永天馬(ミュージシャン アーバンギャルド/松永天馬のA研!)
薄暗闇が終始美しい映画だった。裸電球と炬燵の光に晒される素肌と陰影。ココロとカラダを温めあうのが下手くそ過ぎる悲しい人間たち。誰もいない夜明けの新宿通りのカットはハタチの時の自分の視線ではないかと錯覚した。
宙也(ミュージシャン アレルギー/De-LAX/LOOPUS)
デビュー作にして、すでに寿保度数120%の傑作! 瑞々しいボーイミーツガールの物語を、問答無用の過激な暴力と流れ落ちる血の鮮烈さが彩る。ゲリラ撮影の80年代新宿の、人が溢れながらも冷ややかな光景が最高!
真魚八重子(映画評論家)