DIGS-1075
¥3,800(税抜)
文豪筒井康隆原作の中でも「映画化困難」と言われた短編スラップスティック小説を映画化。
のどかな週末。斑猫(はんみょう)家の一人息子・茂が誘拐された。母親の暢子(のぶこ)は気も狂わんばかりにうろたえる。まさか息子の茂が仕組んだ狂言とも知らず・・・。動転している暢子の前に一人の闖入(ちんにゅう)者が現れた。セールスマンを装った泥棒だ。暢子はこの泥棒を誘拐犯人と勘違いし、泥棒は泥棒で居直り強盗ならぬ、居直り強姦魔となって暢子に襲いかかる。週末の昼下がり、閑静な住宅街を包み込む狂乱と喧騒が今、始まろうとしていた・・・。
●監督はピンク映画の星とまで言われた鬼才中村幻児(本作が初の一般映画)。音楽は山下洋輔、主題歌は本編にも出演するジューシィ・フルーツが担当し、闇の内宇宙と日常の狭間をクールに描写!
●秋吉久美子、泉谷しげる、伊武雅刀、池波志乃、渡辺えり、秋川リサら豪華キャストが全員狂気のフチに立って繰り広げるクレイジーアミューズメント!全員狂人!秋吉久美子、池波志乃、秋川リサ(怪演!)らのヌードも辞さぬ体当たり演技は見もの!カメオ出演の美保純、春風亭小朝の初々しさもポイント!
●とある土曜日、平和ば家庭にあらゆる犯罪が凝縮されて発生!誘拐、窃盗、強姦、横領、殺人・・・・テレビや新聞のニュースで毎日お目にかかる話(現実)が、圧縮された時間、空間の中で起こることによってどこにでもない話(虚構)になり、さらに加速度的な事件の連鎖反応によって生まれる超虚構の世界!!!
【スタッフ】
監督:中村幻児
原作:筒井康隆
製作:渡辺正憲
脚本:中村幻児・吉本昌弘
撮影:鈴木史郎
音楽:山下洋輔
主題歌:「夢見るシェルター人形」(ジューシィ・フルーツ)
【キャスト】
秋吉久美子
泉谷しげる
伊武雅刀
池波志乃
渡辺えり(えり子)、秋川リサ、新井康弘、野上正義、飯島洋一、美保純、風間舞子、春風亭小朝
©1982 ヒューマックスシネマ/中村幻児
推薦コメント〉
あの男は満員の痴漢電車の乗客だった。車内エキストラのくせに「この後、撮影をを見学してもいいですか?」と終日撮影にまとわりつき、いつの間にか獅子プロにもぐり込んでいた。普段はマジメで寡黙・が・酒が入ると訳のわからぬ大法螺吹きに大変身、失敗多数。つくづくアウトプット下手なれど、思いを打ちまけたデビュー作で見事に意気衝天!
観る側にもエネルギーを求める佐藤寿保映画の初号試写で感心したことを思い出した。
滝田洋二郎(映画監督)
20才代の頃、佐藤寿保さんの映画の助監督をつとめた。ツラかったが、なぜか嫌な思い出じゃない。どちらかというと自慢したい。佐藤寿保さんは変わらない。「止まっているってことと、変わらないってことは違うんだ」寿保さんのことを考えるといつも故PANTAさんの言葉を思い出す。羨ましいと思う。その原点である映画が新たに陽の目を見る。祝福です!
瀬々敬久(映画監督)
ピンク映画はセックスではなく不能と鬱屈を描くものであり、鬱屈と暴力は若者の特権だ。『激愛!ロリータ密猟』の誰よりも深い絶望は、いまなお我らの胸をかきむしる。
柳下毅一郎(映画評論家/翻訳家)
嫌な気持ちにさせてくれるディテール。しかし気づくとスッキリさせてくれる。ざっくりと言えば「ヒドイ」映画なのだが、この『激愛!ロリー密猟』の場合それが最上級の褒め言葉にいつしか化けてしまう、とにかくヒドイ映画。必見!
根本敬(特殊漫画家)
この映画を観て映画制作を志したと云っても過言ではない名作中の名作。
小林良二(映画プロデューサー)
コンプラ遵守、ジェンダー平等、ハードコア・ポリコレな21世紀の現代に、時空の裂け目が生じ、20世紀の闇から堕ちてきたピンク色の歪な残像!!!!! こんな奇想の封印を解くなんて、不適切にもほどがある!!!!!!!
宇川直宏(“現在”美術家/DOMMUNE主宰)
陰鬱とした狂気が棲む地下の部屋。新宿の強烈な眩しさ。赤いハイヒールに流れる血。シャッターを切り自ら脱ぐ伊藤清美さんに全身をぶち抜かれた。この作品を見たばっかりに、佐藤寿保作品を求めいまだ亡霊のように彷徨い続けている。
遠藤倫子 (映画zine ORGARM発行人)
私には「死んだら棺桶に入れるものリスト」がある。
そこにこの映画のタイトルを記す夢が叶った。
だからもう、いつ死んでもいい。
シブヤメグミ (バー浮かぶ・二代目店主)
淫乱と暴力と初期衝動!
ノイズやパンク、ロックに造詣が深いところにも衝撃を受けました。
そんな寿保監督のデビュー作が家で観られるなんて!
中原昌也(ミュージシャン/文筆家/映画評論家)
孤独で混乱した精神の前に、無邪気な人々が行き交う雑踏のどれほど残酷なことか。1985年、バブル直前の新宿に、決して救われ得ない2つの魂が交錯するとき、血と淫欲が〈イノセンス〉を塗り潰す! 身を立て! 名をあげ! やよ励めよ! 真の解放はいつも、血まみれのイニシエーションの先にしか残されていないのだから。
髙橋ヨシキ(アートディレクター/映画評論家/サタニスト)
私が20歳だった頃の新宿が舞台。毎日のように新宿にいた頃。観ているうちに当時の頭の中をのぞいているような気分になった。不安と根拠のない自信のカオス。ラスト近くのヒロインが不思議な美しさだった。
古市コータロー(ミュージシャン)
かつてピンク映画館なるものが街中にあった頃、青少年たちは自分の内に秘めた性衝動を、暴力を、妄想を、青暗いスクリーンの中に投影させていた。
じっとり湿ったシートを、男女のまぐわいを照らし出すぼんやりとした映写機の明かりを、そのやりきれなさを。
すべて爆発させるために、パンクするしかなかった。
映画館を、新宿を、狂った触覚がパンクする。
松永天馬(ミュージシャン アーバンギャルド/松永天馬のA研!)
薄暗闇が終始美しい映画だった。裸電球と炬燵の光に晒される素肌と陰影。ココロとカラダを温めあうのが下手くそ過ぎる悲しい人間たち。誰もいない夜明けの新宿通りのカットはハタチの時の自分の視線ではないかと錯覚した。
宙也(ミュージシャン アレルギー/De-LAX/LOOPUS)
デビュー作にして、すでに寿保度数120%の傑作! 瑞々しいボーイミーツガールの物語を、問答無用の過激な暴力と流れ落ちる血の鮮烈さが彩る。ゲリラ撮影の80年代新宿の、人が溢れながらも冷ややかな光景が最高!
真魚八重子(映画評論家)