©1970綜映社
DIGS-1001
過去に朝鮮人の少女を妊娠させながら逃げた男、宇南は医者として佐世保で診療所を開いている。その患者に原爆病と思われる少女がいた。しかし、その娘の母光子は、差別を恐れて頑なに否定する。佐世保には海塔新田と呼ばれる被爆者の集落があり、そこの人間だと思われたくないためだ。ある日、被差別部落に住む徳子が診察所に「強姦の証明書を書いてほしい」とやってきた。それがきっかけとなり、宇南の黒い過去が脳裏に甦り、さらには二つの集落の間でくすぶっていた怨念と憎悪が炎上する。
戦後文学の旗手、「全身小説家」である井上光晴による同名原作を名プロデューサー大塚和が設立した独立プロ「えるふプロダクション」の記念すべき第1作目として映画化。監督は、世界的にも高く評価される社会派映画監督熊井啓。軍港がある佐世保市を舞台に、被爆者、被差別集落、在日朝鮮人、米軍基地といった切実な問題を通じて、差別が差別を生み出す「差別の重層性」を鋭くえぐる重厚な傑作。
「70年代が放った怒りに撃たれよ!」(映画監督 松江哲朗)
[スタッフ]
原作:井上光晴
監督:熊井啓
製作:大塚和、高島幸夫
脚本:井上光晴、熊井啓
音楽:松村禎三
[キャスト]
鈴木瑞穂、松本典子、寺田誠、紀比呂子、奈良岡朋子、
佐野浅夫、北林谷栄、宇野重吉